車中泊で生活するホームレスの人々の厳しい現実を6つの事例でご紹介します。
ゼリーを主食に毎日を食べつなぐ男性や、行くあてもなく道の駅の駐車場を転々としている男性、あるいは他人と関わることから解放されるために車中泊を始めた夫婦など、それぞれどんな思いで日々を暮らしているのでしょうか。
また、どうすればそのような状況から脱することができるのか、抜け出す方法についてもまとめたいと思います。
家を持たず車中泊で生きる人たち
実際に車中泊で生活する人々がインタビューされていた事例を6つご紹介します。
「ゼリーで食いつなぐ日々」60代男性
無職の60代男性です。仕事は元トラック運転手でしたが、身体を壊して退職してからは毎月10万円ほど支給される年金で生活しています。
車中泊に至った理由は、アパートを借りてしまうと年金の10万円では生活ができないとのことで、生活保護に関しても車を所有していると受給することができず、仮に手放してもすぐに保護が受けられないことからその間の寝泊まりに困るため、この男性は車中泊で生活するようになりました。
普段の生活は特に何かをしているわけでもなく、車の中や無料で入れる施設などで過ごします。
主食はなんと手作りのゼリー。大きめのタッパに自分で作ったゼリーを入れて食べつないでいるとのことで、茶色がかったゼリーがなかなか衝撃的な絵でした。
車中泊のデメリットの1つが冷蔵庫がないということで、気温が30度を超えてくる夏場はゼリーはもちろん食べ物が持ちません。一日中エアコンを点けるわけにもいきません。そのため、必要なご飯を都度買いに行くことになるため出費がかさみます。
車の維持費もあるため毎月10万では生活もギリギリで、この男性は毎月年金支給日の午前0時になるまでコンビニのATMの前で待機し、下ろしたお金でガソリン5リットルと食料を買い込んでいました。
持病もあるためこの生活がいつまで続くか分からない不安は計り知れないでしょう。
「今は車の中が一番好きな場所」50代夫婦
夫が元塗装業で妻が元看護師の50代夫婦です。
夫婦ともに精神的に辛くなり仕事を退職。以降はわずかな貯蓄を切り崩したり請負の仕事で生計を立てています。
男性はとにかく「仕事の人間関係が辛かった…もう働きたくない…」と話しており、人とほとんど関わらなくなった車中泊の生活が今は精神的にすごく楽とのこと。仕事を辞めた後も夫婦共に知り合いは1人もいないそうです。
また、この男性に関しても糖尿病を患っており、精神的には楽でも一日中車内での生活は肉体的にかなり辛いものです。
不摂生な生活もあって持病は悪化する一方で、やはりこの車中泊生活がいつ破綻するか分かりません。
心なしか、女性の方もどこか虚ろな表情で正気を感じませんでした。
「ネットカフェにも泊まれない」幼い子供を連れた30代女性
無職の幼い子供を連れた30代の女性です。家庭の事情で家にいられなくなり車中泊することになりました。
車中泊をする前はネットカフェでの寝泊まりも考えたそうですが、子供が泣くためネットカフェに泊まるのは断念。
食事を取るだけで所持金は減っていき、すでに今日を生きるためのお金もほとんど持っていないとのこと。
この方は家を出てから数日の間車中泊を続けているようでしたが、さすがにその日生きるお金もないようなのでどこかしらに助けを求めるしかありません。
インタビューの中では結局その後どうしたのか分かりませんでしたが、おそらく元居た家と何かしら話をしたのか、あるいはNPO法人などに助けを求めたのではないでしょうか。
「死ぬときは布団の上がいい…」60代男性
無職の60代男性です。特定の場所に長くはおらず、道の駅などを転々として車中泊を続けます。
車内にはガスコロンなど割と調理するための道具や便利なものを積んでいますが、男性は「しばらくこの生活を続けているが、もう限界が近い」と話します。
決して栄養のあるものを摂れるわけでもなく、毎日狭い車中で無理な体勢で寝続け、身体は悲鳴を上げていることでしょう。
そして最後に男性は「死ぬときは布団の上がいい…」と消え入りそうな声で話していました。
「20代の時の写真がお守り」80代男性
無職の80代男性です。わずかな年金で車中泊をしています。
この男性は高度経済成長期に某高級ホテルに勤めていましたが、40代で仕事に挫折、そのあとは職を転々として今に至るとのこと。
若い頃にバリバリ仕事をしていたせいか、自身の若く輝いていた頃が忘れられず、80を過ぎた今でも当時の自分の写真を大切に持っています。
所持金はほとんどない様子でしたが、誰かに助けを求めることが恥ずかしくてSOSが出せず、生活はギリギリの状態でした。
その後は男性が実はアパートを借りていることが発覚したのですが、室内はゴミ屋敷となっており住めない状態だったので、スタッフ協力の元綺麗に掃除してアパートへ戻ったそうです。
「父親の暴力から逃れるために…」20代男性
無職の20代男性です。年齢は20代と若いですが、車中泊をしています。
車中泊をするに至った経緯については、元々父親と同居していたそうですが、その父親から暴力を受けるようになり逃げるように家を飛び出したとのこと。
男性は「車中泊であれば父親に場所を知られずに済む…」と話しますが、着の身着のままといった感じで所持金もほとんどありません。
見た目もかなり痩せており危険な状態と判断され、その後ボランティア団体に保護されました。
車中泊から抜け出す方法
厳しい車中泊の生活が続いている人はどうすればその現状から抜け出すことができるのか。考えられる方法をご紹介します。
NPO法人に助けを求める
今日を生きるためのお金もない状況の場合、もはや自分の力でどうにかするのは困難です。
そういった状況にある人は、迷わずホームレス支援のNPO法人や生活困窮者支援のNPO法人に相談しましょう。
必ず支援の対象になるとは言えませんが、そういったボランティア団体が本当に深刻な状況にある人を見捨てるようなことはほとんどの場合ありません。
中にはカップ麺や軽食などの食料を職員が持ってきてくれることもあります。
前述したように誰かに助けを求めるのが恥ずかしいという気持ちも分からなくもありませんが、恥ずかしさなんてものは命と天秤にかけられるものではありません。
もちろんそこまで瀬戸際で生きていない人でも、車中泊が続いているような人は一度相談してみるのがいいでしょう。
自分でお金を稼ぐ方法を見つける
一時的に車中泊をするような生活でも、例えばある程度貯蓄に余裕がある場合などは、自分でお金を稼ぐ行動に出るというのも1つの方法です。
貯金を切り崩して生活しているということは、それだけ普通に働いている人より多くの時間を何かに使えるということです。
「具体的に何をすればいいのか分からない」という人も多いと思いますが、例えばブログやサイトの運営、ユーチューブ、せどり、何かを採集してメルカリで売ってみるなど、挙げれば色々とあります。
始める前に「どうせうまくいかない」と諦めるのではなく、まずはやってみることをおすすめします。
まとめ
車中泊している人たちがインタビューされた6つのケースをご紹介しましたが、やはりどの人にも共通するのが無職ということです。
年金や単発のバイトでギリギリの収入を得てその日暮らしの生活をしているのが現実です。
ネカフェ難民もそうですが、こういった状況に陥るとなかなか抜け出すことは難しく、何か目標があって行動していればいいのですがほとんどの人はやはりその日その日を食いつなぐのがやっとです。
そういった生活はまず間違いなく近いうちに破綻してしまうので、本記事でご紹介したようにボランティア団体に相談したり、あるいは何かしらお金を得るために行動に出ることをおすすめします。